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東京都練馬区の皮膚科クリニック/テル皮膚科/皮膚科、小児皮膚科、美容皮膚科.


保湿剤(ヒルドイドやワセリン)が保険適応でなくなるかも!?

2017年10月17日

hirudoid

いま、皮膚科医の間で大きな反響を呼んでいる出来事があります。大変久しぶりですが、このことについて記載したいと思います。

来年の診療報酬改定に向けて、健康保険組合連合会が出した提言のなかに、「保湿剤の単独処方は、保険適応外とするべきだ」という内容が含まれているというお話です。当初は条件付きですが、最終的には保湿剤自体の保険適応も認めるべきではない、とまでふみこんで提言しています。

ヒルドイドやワセリンと言った保湿剤は皮膚科治療の上で欠かせない薬剤ですし、我々もずっと処方してきたもので、これに保険適応がなくなれば、自費で購入するしかなくなり、大変な損失を被る患者さまもいると思います。

しかし、例えばアメリカ、イギリス、フランスなどでは、そもそも保険での処方は認められていません。昨今、老齢化社会で医療費も増大していますが、予算の枠が限られているため、どこかから削りたいという思惑なのでしょう。ちなみに全国で処方される保湿剤の薬剤費は年間1230億円だそうです。

また、保湿剤について健康保険組合連合会は「化粧品代わりに安易に処方されている」と分析しています。これは最近私も感じている傾向ですが、ヒルドイドの処方のみを希望しておいでになる患者さまが増えました。最近はSNSなどで容易に情報発信できるようになったため、普段使いのものとしてヒルドイドを勧める記事なども多く見受けられます。

もちろん、乾皮症がある方がヒルドイドを塗ることは間違っていません。ただ、あまり乾皮症が認められない患者さまが、ヒルドイドまたはビタミン剤とヒルドイドの両方の処方を希望され、当方で必要なさそうだと判断した場合は、処方をお断りするケースもあります。そのような場合、説明に多くの時間を要したり、満足頂けなかった患者さまからクレームを頂き、ほかの患者さまの診察に支障を来すこともございます。このこともいま皮膚科医の悩みの一つとなっています。

そのような意味では、保湿剤を保険適応外とすることは、我々の悩みの解決策になり、医療費の圧縮にも役立つと言うことになるのですが、真面目に治療されて、やっと保湿剤で症状が落ち着いている患者さまにとっては、一大事で、このような理由で保険適応をなくすのは、私は反対であります。

おそらく、医師会や皮膚科学会でも議論がなされて、反対の意見が出されるとは思うのですが、患者さまにおかれても、このような状況をご理解頂きたいと思います。