アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法
2013年03月11日
最近の話題であり、患者様からのお問い合わせも数件ありましたので、今回はこのことについて書かせていただきます。
プロアクティブという語の本来の意味は「率先した」とか「前向き」といったもので、プロアクティブ療法というと、なにか事が起こる前の治療、積極的な治療といった意味が読み取れます。
アトピー性皮膚炎におけるプロアクティブ療法とは、わかりやすく説明すると、「症状が落ち着いているときも週に2回程度 、ステロイドを塗るようにする」という内容になります。もちろん、回数や外用薬の種類は様々なパターンが考えられますが、症状が悪化しないように常にコントロールする、というコンセプトになります。
ステロイドに対する抵抗感が強い状況でこのような指導をしてもなかなか受け入れられにくいですが、肉眼的な症状がほぼ消失しても、皮膚の中で残っている炎症反応があったりして、外用を止めるとすぐ症状が悪くなるのは、アトピー性皮膚炎の患者様なら皆様経験していることかと思います。
かゆみや見た目の症状に合わせて、治療内容を調整しているよりも、結果として、プロアクティブ療法を行っているほうが、使用量も少なく、状態もいい状態でコントロールでき、副作用も少ない、という理屈なのです。
ただ、私自身は、このようなお話を積極的に勧めることはまだできておりません。現実問題としては、症状がよくなると、通院が不定期になり、なかなか説明する機会がないのもありますし、理想論通り事が進まないことも多いと思います。
患者様と長くお付き合いさせていただいて、いよいよ症状が安定してきたときに、こういうやり方が検証できるようになればいいかなと思います。