皮脂欠乏性皮膚炎について
2009年11月08日
11月にはいり、だいぶ寒くなりましたが、空気が乾燥してくると多くの方が「皮膚がかさかさしてかゆくなってきた」といって皮膚科の外来を受診されます。このような患者さんを診察すると、皮膚に多くの鱗屑(りんせつ:細かい角質片)、亀裂、発赤を認め、引っかき傷もたくさん見られます。このような状態を皮脂欠乏性湿疹といい、比較的高齢者に多く見られますが、若い女性、小児などでも見られることがあります。
加齢とともに皮膚が萎縮し、薄くなるとともに、脂腺の能力も低下し、皮膚の保湿能力が著しく低下してきます。このような状態になると、皮膚は摩擦や静電気などの刺激により皮膚炎をおこしやすい状態となります。
日本人は入浴好きで、過度と思えるほど清潔志向であり、ヘチマ、ナイロンタオルなどで毎日体を擦る方が多く、このような傾向もこの病気を悪化させる一因となっています。皮膚を強く擦ることは皮脂欠乏性湿疹を悪化させますので、素手あるいは綿のタオルで軽く洗う程度にとどめたほうがよいでしょう。また、冬の時期の室内の乾燥も皮膚からの水分の蒸発を助長しますので、暖房のかけすぎに注意し、加湿器を使用するのもよいと思います。
皮脂欠乏性湿疹の治療には保湿剤やステロイドの外用を用います。かゆみの強いときは抗アレルギー薬(かゆみどめ)の内服も併用します。
ごくありふれた病気ではありますが、他の皮膚疾患との鑑別が必要な場合がありますので、一度は皮膚科専門医を受診することを御勧めします。